”It(それ)”と呼ばれた子

数ヶ月前に書店で手に取った一冊。タイトルは『It(それ)と呼ばれた子』。今日やっと3部作の完結編を読み終えました。

 著者の名はデイヴ・ペルザー。カリフォルニア州デイリーシティに生まれ、州史上ワースト3に数えられるほどの児童虐待を実の母親から受けた。母親から“That Boy(あの子)”から、ついには“It(それ)”と呼ばれるようになり、兄弟のうちでただ1人いじめぬかれた。食べ物をぎりぎりまで制限され、服もボロボロになるまで与えられない。ひとりガレージに追いやられ寒さと飢えに苦しむ。そして、ときどき嵐のようにやってくる折檻。 ガスコンロで焼かれた日もあった。塩酸入り洗剤で掃除をさせられる事も、赤ん坊の汚物を食べさせられた事も・・・。奴隷のように働かされる。身の回りの世話はおろか、暴力をふるわれ、命の危険にさらされ、かばってくれた父親も姿を消してしまう。

 幼い時から実母による虐待を受け続けたのち、里子として偏見と差別のなかで成長し、やがて18歳で空軍に入隊したデイヴ。かつてはヒーローだった父親が哀しい死を遂げ、はじめて愛した女性との結婚生活もまた悲劇に終わる・。それでも、最愛の息子スティーヴンとのふれあいを通じて、癒されてゆく。そして、ついに母親との再会を果たすことを決意。憎しみと許しのはざまで苦悩しつつも、人生最大の問いかけ「なぜ、ぼくを虐待したのか?」と尋ねるために……。

 壮絶な児童虐待を生き抜いた著書が、トラウマを乗り越え、人間として生まれ変わるまでの魂の軌跡。初めて明かした壮絶な日々の記録 です。普通の大人になるだけでも奇跡的なのに、アメリカ国民として1人「世界の優れた若者」に選ばれたり、聖火リレーの栄誉を担ったり活躍もしてます。

 ほんとに色々と考えさせられた本です。幼年期・少年期・完結編の3部作は世界で1077万部の大ベストセラー。そして去年発売された青春編の4冊。ぜひ読んで見てください。