友禅

今日は“小糸染芸”の展示会がありました。京の摺り友禅の伝統を受け継ぐ小糸染芸は130年の歴史をもつ老舗。今日は5代目の方がいらっしゃって実演してもらいました。2年以上教室に通ってる私は、この方と会うのは2,3回目ですが、色々なお話を伺う事ができました。

ちなみに友禅とは江戸時代宮崎友禅斎という扇絵師が始めた技法でその名前からとったものです。三大友禅と呼ばれる京友禅加賀友禅、東京友禅京友禅は手描き友禅が多かったけど手間がかかるため、現在は型染めや捺染が主流になってるみたいです。加賀友禅は友禅斎が加賀に行ってそこで改良確立した染物の技法のこと。東京友禅はいわゆる東京で作られてる京手描友禅や江戸友禅のこと。

小糸染芸は型紙を使った摺り込み友禅です。約7メートル程のもみの木の板に白生地をぴったりと貼って、型を順に置いて染めていきます。手描き染めは空中に浮かせて染めていきますが、型紙染めは板を使います。もみの木を使うのは木目が出にくいという理由とささくれがあまりないという理由だそうです。現代は身長が昔より高くなったので木の長さも長くなったそうで作業が更に大変になったと言います。

模様がずれないように、型には目印の穴(合わせぼし)があいていて、そこにキリのようなつきばりというものを差し込んで型を固定するんですけど、ほんと見えないぐらいの小さな穴で、目で見て下の生地と合わせていく作業はほんと素人には無理。江戸小紋は型紙一枚のみでそれを反物全てに染めていきますが(全部が同じ柄)、小糸の刷り込み友禅はまったく同じ色の部分だけを同時に「ひとつの型」で染めるので一色につき型一枚。明度彩度が違う微妙な色もあるので多いもので1800枚の型紙になるそうです。ほんと気が遠くなります。

色の均一化をはかる為に常に立って作業をするし、布が伸縮しないように工場は窓を閉め切って作業するらしく夏は暑いし冬は寒いしで体力的にとてもきついそうです。7mある木の台も上にあげて乾かすのでそれを一人で持ち上げるのに相当力がいるみたいです。だから型紙染めの工場は男性しかいないのが基本らしいです。5代目も最初一ヶ月は体重が15�s減ったそうですよ。。。

この工房は小紋を中心に作ってるんですけど(多分)、着物で一番売れてるのっていくら少子化少子化って言っても振袖だそうです。小紋は消費税以下の売上。フォーマルって着物でも洋服でも多少ごまかしききますよね。洋服だったらスーツにブラウス。着物だったら訪問着に格高の袋帯締めておけばなんとか格好がつくけど、小紋とかカジュアルな服ってその人のセンスが問われます。普段会社でスーツをびしっと決めてる人が普段どんな格好してるかなんてわからないですよね。社員旅行とかで全然イメージと違う服装で来た事とかってないですか?だから洋服はカジュアルな服装、着物は紬とか小紋がセンスを問われるものになってます。まぁ私は初めての着物で小紋を買いましたがかなり個性的なのでしたけどね(笑)。今考えるともう少し無難なのにしておけば良かったとは思いますけど。。。

着物ってぱっと見では分からない技術がたくさん詰まってるからこういう展示会は大好きです。その着物への作者の思いが直接伝わるし、知識も得れるし、奥が深いなぁって実感するし。だから高くても多少は納得します(泣)。あぁ京都行きたい!